シュムッタータール廃水協会は、未来に向けた道筋を付けました。ヒルブリンゲン廃水処理場の大規模近代化の一環として、KAESERのロータリスクリューブロワー6台が設置され、活性汚泥タンクのエアレーションに携わることになりました。その結果、エネルギー消費量が大幅に減少しました。
ヒルブリンゲンの機械的生物学的廃水処理場の最も重要な作業員はとても小さいです。実のところ、極小すぎて、肉眼では見ることもできません。もちろん、これは微生物の話です。彼らは、同協会の運営地域内で発生する生活排水や商業排水を活性汚泥タンクの中で昼夜を問わず浄化しています。
しかし、この浄化を成し遂げるために、圧縮空気が微細な気泡の形でタンク内の機械的に前処理された水の中に引き込まれています。活性汚泥の中に存在する細菌や微生物が、廃水中の有機汚染物質を分解するために酸素を必要としているのです。さらに、微生物は微細な不純物を凝集して汚泥の塊にしています。この塊は後の浄化プロセスで分離されます。
微生物に十分な酸素が供給されるよう、圧縮空気を微細な気泡の形で汚泥タンク内に導入。
圧縮空気生成はエネルギーを大量に必要とする性質のため、汚泥タンクのエアレーションは廃水処理場のエネルギー要件の24~30パーセントを占めています。そのため、廃水処理場のエネルギー効率は汚泥タンクおよびそのエアレーションシステムの設計に大きく左右されます。シュムッタータール廃水協会は、ヒルブリンゲン廃水処理場の近代化にあたり、この事実も考慮に入れました。
ヒルブリンゲン廃水処理場のMartin Schwab所長は、「近年、この廃水処理場でいくつもの最適化措置を実施しました」と説明します。「3つ目の最終沈殿池や2つ目の雨水越流池の建設に加えて、既存の汚泥タンク内のエアレーション設備のアップグレードが主な焦点でした。古いブロワ―は30年以上もの間、運転されていました。そこで、エネルギー効率の理由からこれらを交換する必要がありました。」
KAESERのEBSロータリスクリューブロワーに大いに満足しているMartin Schwab氏。
並外れのエネルギー節約
曝気汚泥タンクでは現在、45 kWモーター搭載のKAESER EBS 410 L SFCロータリスクリューブロワー6台が650ミリバールで運転されています。同機械の並外れたエネルギー効率に加え、その幅広い制御範囲もKAESER選定の決定要因となりました。KAESER KOMPRESSORENのブロワー製品マネージャーPeter Werhahnは、「多くの廃水処理場では、必要な圧縮空気を効率の悪いブロワーを使用して生成しています。このことは最適化やエネルギー節約の点からして大きな可能性を秘めています」と説明します。「KAESERのロータリスクリューブロワーは、幅広い流量範囲にわたって非常に高効率です。優れた効率により、従来のブロワーシステムと比較して最大35パーセントの節約が可能です。」
より一層効率的な装置への移行に加えて、ブロワーシステムの制御や設計が廃水処理場の全体的なエネルギー効率にとって非常に重要です。KAESERのロータリスクリューブロワーはすべて、SIGMA CONTROL 2一体型コントロールを備えています。この先進的なシステムは、効率的な制御を実現し、リアルタイムで運転データや状態データを監視します。運転パラメータの連続記録により、総合的なシステム監視が可能となっており、翻って、ダウンタイムを確実に予防します。
ヒルブリンゲン廃水処理場のエネルギー効率に優れた運転を担保しているKAESER EBSシリーズのロータリスクリューブロワー6台。
実利のある効率性
EBSロータリスクリューブロワーには周波数変換器が付いています。可変回転数制御を使うと、流量を調整してプロセスの実際の空気需要にマッチさせることができます。これがさらなるエネルギー消費を抑制し、結果的に資金の節約になります。
さらに、汚泥タンク内に空気を引き入れる方法が、効率に大きな影響を与えます。それが、全般的な近代化計画の一環として、古いキャンドル型エアレータをプレート型エアレータに交換した理由の1つです。この微細な気泡の圧力エアレータはタンク底部に位置するので、タンク内の広範な領域に微細な気泡状の圧縮空気を行き渡らせることができます。これにより、電力1キロワット時あたりの酸素インプットが増えるので、消費電力がシステムによってはさらに10~30パーセント減ります。
システム全体で予想される最大45パーセントのエネルギー節約のおかげで、この近代化プロジェクトは資金援助の対象となりました。シュムッタータール廃水協会は、タンクエアレーションシステムの更新用として、総費用の約30パーセントに相当する助成金を連邦環境・自然保護・原子力安全省から受け取りました。
Martin Schwab所長は「この近代化は未来に向う持続可能な一歩なのです」と意気込みます。「私たちはKAESERのロータリスクリューブロワーを使うことで、最善の性能やエネルギー節約に関して希望する地点に辿りつくことができました。」