コッヘム地区の廃水処理場ではケーザー・コンプレッサー社のスクリューブロワー導入により効率改善を達成
コッヘム市地方自治体

環境重視

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トライス・カーデンにある排水処理場では、ケーザー社の新しいロータリースクリューブロワー新製品を導入して、効率がさらに向上したとともに、環境にもやさしい運転が可能になりました。

ドイツ・コッヘム市の地方自治体では、極めて革新的な排水処理場ネットワークを運用しており、効率改善とともに、環境を配慮する新たな方法を模索しています。トライス・カーデンに新たに導入されたロータリースクリューブロワーにより、浄化した水をモーゼル川に344 L/秒もの速度で連続排水しています。これを通じて、自治体の財政負担も軽減されました。

トライス・カーデンの廃水処理場では、回分式活性汚泥法(SBR)により廃水をバッチ処理しています。各サイクルでは、廃水を処理槽に約5.5 mまで貯めて、約570 mbarの圧力をかけて300時間処理します。この用途の困難な側面の1つに、季節によって廃水量が大きく変動する点があります。夏には、多数の旅行者と現地のワイン醸造者が大量の廃水を出す一方、冬にはその量が大きく減少します。これに対応すべく、SBR処理場の水位に応じて圧力を480~570 mbar(b)に変えています。

以前、トライス・カーデンの廃水処理場ではローブ型ロータリーブロワーを利用していました。作業者もこのソリューションには大変満足していました。処理槽の深さ6 mは、この用途で平均的です。空気注入には約5 mが最適な深さであるため、処理槽の深さは好都合です。この水深では、最適にを空気注入できます。以前の装置もうまく稼動していましたが、新たに導入したロータリースクリューブロワーの革新的な設計や技術により、大幅なエネルギーコスト節減が達成され、従来よりも騒音レベルが低減されました。

大幅なコスト節約

古いローブ型ロータリーブロワーの交換時期になり、コッヘム市自治体は、新しいFBSタイプのロータリースクリューブロワー(空気吐出量67 m³/min)を試験的に設置することにしました。装置には初圧650 mbarのブロワーエアーエンドが装備されており、廃水処理場の他の装置にも完璧に統合できます。

新しいロータリースクリューブロワーには、多くのメリットがあります。運転条件によっては、従来のローブ型ロータリーブロワー比で最大35%効率が改善されます。これと同時に、市販のロータリースクリューブロワーやターボブロワー比で、新しい技術はエネルギー面でも大きな利点があります。エネルギー節減には、ロータリースクリューブロワーの初圧がシステム圧に限りなく近いことが大きく貢献しています。これにより、「過圧縮」の現象を高い信頼性で回避できます。ロータリースクリューブロワーが廃水処理場で必要とされる以上に高い圧力を生成すると過圧縮が発生します。さらに、ユニットの内部形状もその原因です。そのため、スクリュー圧縮法のエネルギー面のメリットが減じ、最悪のシナリオでは、まったく効果が発揮できません。

FB 620 PlusとFB 660 Sシリーズコンプレッサーで構成されるケーザー・コンプレッサー社の圧縮空気システム
トライス・カーデンの廃水処理場では、従来のローブ型ロータリーブロワーをFBSロータリースクリューブロワーに入れ替えました。
長期間の高効率化

ローターには塗装が施されていないため、長期間運転してもほぼ一定の効率を維持します。エアーエンドコンセプト(特許出願中)がさらに利点を提供し、エネルギー節減効果を高める一方、システム全体の比電力も大幅に向上します。最大の効果は、低速運転時に従来のロータリースクリューブロワーよりも運転効率が高いことです。つまり、新しいスクリューブロワーは、市場でも最大の制御範囲で運転できます。さらに、ロータリースクリューブロワーは完成システムです。ブロワーシステムには、シグマ・コントロール2コントローラーとインバーターなどの必要な制御電子機器がすべて装備されています。インバーターはプログラム済みで、装置全体が詳細なテストと点検を工場で実施済みなので、極めて容易に設置できます。

コントローラーがシステムを連続で包括的に監視するとともに、廃水処理場の既存の処理制御システムとも容易に、高いコスト効果で統合できます。従来のシステムとは、従来型の無電圧接続端子でも、Profibus DPやインターネット接続でも統合できます。廃水処理場にはすでに最新の処理コントローラーが装備されており、Profibus DPに対応しているため、将来の廃水処理場稼働を見越して、スクリューブロワー装置コンセプトをシームレスに組み込むことができます。容易な設置と試運転手順もコスト節減に大きく貢献します。

賢い設計

新しいロータリースクリューブロワーは、エネルギー効率の改善を通じて、大幅なコスト節減を達成するというメリットも提供します。各装置には賢い冷却コンセプトが採用されており、オイルポンプやオイルクーラーのエネルギー消費量をカットします。さらに、効果の高いシーリングコンセプトが、真空ポンプなしでも長期間シール性能を維持します。サブシステムやオイル潤滑が不要なため、機械の耐用年数や信頼性もさらに向上します。冷却空気の入口と処理用空気の入口を分離し、カバー外に配置したため、最適な冷却と効率が実現しました。そのため、同じ電力消費量でも、使用可能な空気流量が増加します。さらに、連続運転でもブロワーは卓越した信頼性と耐久性を発揮します。構成機器をインテリジェントに配置して、装置は壁際でも他の機械の隣でも設置できるため、メンテナンスも高い利便性とコスト効果で実施でき、しかも最小限の設置スペースで済みます。

トライス・カーデンでは、廃水処理システムに汚泥プレスをレトロフィットしたため、ブロワーシステムを設置する予定だった地下エリアへのアクセスが一部塞がれました。このハードルのほか、汚泥プレスを処理場の稼動中廃止できないという課題もありましたが、ロータリースクリューブロワーはモジュール設計で、各部を分離して、設置する現場で再度組み立てて、試運転できるため、全く問題は発生しませんでした。

これもすばらしい成果でしたが、設置済みのローブ型ロータリーブロワーがこのクラスでは比較的高いエネルギーコスト節約を達成しており、廃水処理場の水位が変動するため、実際のコスト節減効果はその能力に見合わないものでした。水位の変動(最大逆圧570 mbar)があったにも関わらず、一定の期間内に従来のローブ型ロータリーブロワー比で最大25%ものエネルギー節減を達成しました。この値は、現地のエンジニアリング会社で測定し、確認されたものです。